Menu

平国祭

3月18日〜3月23日

石川県七尾市の所口町にある気多本宮へ渡御する大規模な神幸祭で、現在は三月十八日から二十三日まで、羽咋・鹿島郡内の二市五町を回る。神輿の長い行列が早春の能登路を巡行し、一般には「おいで祭り」と呼ばれる。沿道には人々が集まり、神幸を迎える。「寒さも気多のおいでまで」といわれ、神が民衆の中においでになり一体となる能登の春祭りとして親しまれている。 注目したいのは、往路の二十一日、中能登町金丸の宿那彦神像石神社に一泊し、翌日同社の少彦名命が神輿に同座して七尾の気多本宮に赴き、一泊して祭典を営んでから帰途につくことである。気多大社の大国主神が少彦名命とともに能登を平定した往時をしのぶ行事だといわれている。

帰社した神輿は四月三日の例大祭まで拝殿に安置され、平国祭がそれまで連続していると伝える。例大祭には境内で蛇の目の的を神職が弓で射、槍で突き、太刀で刺す行事があり、祭神が邑知潟にすむ毒蛇を退治した状況を模したものだと説かれているが、古記録によれば、流鏑馬神事が歩射となったものであることが知られる。昭和六十三年からはその流鏑馬神事が四百五十年ぶりに復活され、古式に従って執り行われた。平国祭は気多大社鎮祭の由来を伝える重儀で、祭祀の性質としては祈年祭に属する。まことに大規模な渡御祭として全国的にも注目される。